先日、高校生にCGクリエイターとして講演をしてきました。
真面目に話を聞く生徒、寝てる生徒様々でしたがアウトプットは自身にとって良いことなのでまあ意味はあったかなと。
ノーギャラでしたが・・・。
さて、今年はずっと3Dモデリングからのアニメーション制作をやってまして。
今日はそのお話。
↓この動画1人で作りました。(47秒あたりからフルCGです)
目次
今のクリエイターは3Dが必修科目
■3Dができれば表現できないものが表現できる。
■合成すれば無理な撮影が可能になる
これらがCGの最大の魅力です。
もちろん実写撮影のみで素晴らしい映像を作ることも可能ですが、どれも同じ演出になりがち。
でもCGができれば全く違うコンセプトでの映像制作が可能になります。
CGができないよりできた方がなお良い。
一人で全て完結できれば、何より利益率も良くなります。
あと、3Dがなんたるかを知っていれば3Dの専門チームとの打ち合わせや依頼、合成撮影もしやすくなります。
ソフトはCINEMA4Dがおすすめ
after effectsをやっている人なら3Dソフトはcinema4Dがおすすめです。
afterとの連携もしやすいですし。合成などもafterの映像を読み込んで3Dを作ることもできます。
さらに最新のcinema4Dは精密なCADデータがあればボタン一つで3Dモデリングを勝手にやってくれます。
ちなみに公式のDEMO REEL↓ こんなことができます。
CINEMA4D https://www.maxon.net/jp/
PCスペックが納期を左右する
3Dといえばパソコンスペック。
ですが、モデリングや画像の書き出しであればノートPCでも十分可能です。
ちなみに今の私のノートはかれこれ5年前くらいのものですが
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MacBook Pro (Retina, 15-inch, Mid 2014)
2.8 GHz Intel Core i7
16 GB 1600 MHz DDR3
NVIDIA GeForce GT 750M 2048 MB
Intel Iris Pro 1536 MB
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↑こんな感じ。
車のモデリングは最初、このノートでやっていました。
しかし!!
ことアニメーションとなればPCスペックが必要です。
メインPCはデスクトップで行っていますが
そこそこのスペックだと思っていたのですが結構時間かかりました。上記の動画のCG部分約60秒のレンダリングに24時間×7日間かかりました。(しかも画質を落とした書き出しです)
デスクトップのスペック
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Windows 10 Home 64
3.00GHzインテル Core(TM) i7 10コア
64GB メモリ
512GB NVM Express SSD
Seagate 512GB SSD
HDD 3TB ( 7200rpm / 6Gbps 対応 )
NVIDIA Quadro P5000 / 16GB
cinema4d R17
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もちろんレンダリングの設定や外部のレンダリングプラグインを使うと結構変わるのですが・・・
3Dのレンダリング設定は永遠のテーマというべく奥が深いです。
通常はレンダリングPCを別に数台用意して数珠つなぎで分散させてレンダリングします。こうすることでアニメーションのレンダリングは早く行うことができるのです。
今回は1台のPCで行いましたが、正直おすすめできないやり方です。
CADまで作れれば尚よろし
プロダクトや建築系の3DモデリングはCADデータ(設計図)を元に起こしていきます。
イラレでいうとこのトレースです。
下に横・上・前or後のCAD画像を置いて立体に編集していくわけです。
ここで初心者がつまづくのがCADの見方。本格的なCADデータは数値や記号が書かれていていまいち良くわかりません。
ですので本来ならCADから作れる技術があれば3Dも簡単ではあります。
最近ではCAD作成ソフトで3Dに起こしてしまう方法もあるので。
CADデータが無い場合は自分で下絵を書いたりする場合もあります。
Illustratorで書いてもOK。
↓は初めてのモデリングで練習用に書いた製図?です。
で、これを3D化すると・・・
CADのソフトが使えれば良いですが、また勉強も大変なのでとりあえずイラレでやりました。
ちなみに車なんかの場合は誰かが作ったCADデータが素材として売っているので、それを使うもよろしかと。でも気をつけないと誰かが作ったCAD素材は結構ずれてたりします。
ちなみにですがイラレで製図をしておけばパスをCINEMA4Dに直接読み込み、そこから3D化することも可能です。
モデリング
今回は初級編ですので「モデリング」について説明します。
モデリング・・・ポリゴンを繋いで物体を成形する工程。
です。
ポリゴン(polygon)=多角形という大まかな意味なのでなんというか三角とか四角とかを繋いで行くんです。
ちなみにcinema4dでは基本的に四角形を繋いでいきます。
三角形もいいのですが、三角形だとポリゴンがいびつになったりと・・・まあ意味不明ですが四角形がいいみたいです。
参考にこんなイメージ↓
ちなみに5角形以上は三角の集合体や三角と四角で表します。
モデリングは粘土や彫刻と同じように思います。
いろんな方向から見て削ったり付け加えたり。
プロダクト系なら製品の内部構造まで知らないとモデリングできなかったりします。また3DCGをいかにリアルに作り上げるかは細部の表現までするかによります。
例えばiphoneならスピーカー部分の網目、車ならホイールのナットの印字。などなど細かな部分まで目を配ることが必要です。
しかし、絶対に映らない部分などは作る必要がありません。全てを細かに作り上げると急激に重くなるからです。手を掛ける部分と手を抜く部分のメリハリも重要なんです。
ちなみに上記の車は内装は大まかに仕上げてあります。ガラスの反射で仲間でくっきり見えないのと納期的に厳しかったからです。
いろんなチュートリアルの車でフロントガラスが真っ黒なのはこのためです。
さらにボディはぺらぺらのハリボテです。実際のボディは暑さ数ミリの鉄板でできていますが3D空間上では紙よりも薄いペライチなのです。
あと、車体の半分しか作っていません。人工物はほとんどが左右対称です。半分作ってもう半分は反転させたポリゴンなのです。
左右対称ではないものや人間などのキャラクターはもう半分作る場合がありますが
キャラクター含め最初は半分からの反転コピーがほとんどです。
簡単になりつつあるモデリング
モデリングは好きな人は好き。嫌いな人は嫌い。とはっきり別れる分野かもしれません。なぜなら最高に地道な作業だからです。ちなみに私はモデリングしている時が一番精神が落ち着いています。
しかし最近はモデリングも簡易にできるようになりつつあり、
例えばすでに実物がある場合は3Dスキャンからのモデリンもあります。
精度は低いけどデジカメと専用ソフトで簡単にモデリングできるのです。
ライティングとマテリアルでリアル感が表現される
モデリングがある程度見えてきたら次は、照明と材質(マテリアル)です。
ここは話すと長いので知っておきたい概念の部分だけ。
3D空間は光の無い無の空間である。
つまり照明を立てないと何も画面に映らないし
光が反射する物体を置かないと何も見えないのです。
これを知らないと一番はじめに焦ります。特にAEから来た人はなおさら。
自分もそうでした。いざレンダリングすると真っ黒。
作業時は仮の照明が当たっているだけなんです。
ですので照明(ライト)を立てましょう。太陽もあります。
そしてモデリングしたオブジェクトだけでなく地面や背景も作らなければなりません。
そして3Dのライティングも奥が深い。実際の撮影で照明さんがいるように、3Dの世界でも照明さんがいるくらいなので。
さてお次は材質(マテリアル)。
金属なのか木なのかコンクリートなのかカラーは?材質の反射率は?
照明と材質も極めないといけない要素で、この精度でクオリティに差が出ます。
自分もレンダリングしては直しての連続でした。
実はアニメーションが難しい
続きましてアニメーション。せっかく作った3D。
できればリアルに動いて欲しいですよね?
じゃあどうやって動かすか・・・
このあたりはプレミアプロやAEと同じくキーフレームで動かします。ただし簡単な動きであれば。
ややこしいのはここから。連動して動くものはどうするのかというと
それこそ車のタイヤが一周すれば車が進行方向にどれだけ進むのか。
デコボコの道を車が移動するには?
キャラクターが歩くには?
などなど
さあ、数学と物理のお時間です。
特にCINEMA4Dではエクスプレッション(Xpresso)という機能を使います。
端的に言えば計算式です。
タイヤが一回転した時の距離を求め、車全体を進行方向に同じだけ進ませる。タイヤが右に曲がれば車体も弧を描いて曲がる。など数値を求め加算・減算・乗算・除算、三角関数(sin,cos,tan)も出てきます。
プログラミングを理解しているとわかるようなのですが・・・どうなんでしょう?
今回の車でXpressoを試みましたが前には進むものの、道が曲がるのわからない。
納期が近づいていたので最後の手段、諦めて手動でキーフレーム打ちました。
こちらもいろんなチュートリアルがあるので調べてみてください。
それ以外にもMoGraph,シュミレート(ダイナミク、パーティクル)などでアニメーションを作る場合もあります。
またキャラクターはボーンと言われる骨をオブジェクト内部に挿入して連結させて動かしたり実際の人間の動きと連動するモーションキャプチャーでアニメーションを行ったりします。
CGの今後とまとめ
さて3Dのほんの一部のお話でした。
3Dは5年10年やって一人前と言われるほど奥が深いんです。
自分も実際にcinema4dを購入したのは4〜5年前、ちょくちょく触っていたのですが本格的にモデリングから始めたのはここ1年くらい。
まだまだ勉強中ですが、諦めません勝つまでは。
最近はリアルすぎて本当にプロから見ても実写かCGかわからない領域になりました。
最高にリアルな3Dは芸術品に近いものがあります。
おそらくソフトは簡略化され操作はもっと簡単にはなってくるでしょう。しかし造形の部分はどんなにソフトが進化しようとセンスです。
そして実写との合成技術はより今後も必要とされる技術かと思います。腕を磨きましょう!!
最後に3Dを含めたCGはとにかく難しいので最初から、確実に勉強しようとは思わないでください。無理です!!
できること、やりたいことだけをなんとなくで勉強しましょう。
ある日、突然その知識と技術は開花します。